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Story

Story vol.16
[デザイン・文:土橋 陽子]

「時計と楽器の意外な共通点。fun pun clock の枠体を作っているのは、あの楽器メーカー。」

現在 fun pun clock のプライウッドの枠体は、実は日本発世界ブランドの楽器メーカー・Pearlさんが作ってくれています。発売当初は、タンバリン職人さんご夫妻が、枠体を作って下さっていました。

時計のパーツを楽器メーカーが作る。業界を越えた「モノ作り」の共通項は「カタチ」にあります。
ドラムが鳴り響く傍らで大声を張り上げて説明する、ちょっと変わった状況で始まったPearlさんとの交渉。
fun pun clock シリーズの開発ストーリー最終章です!
子どもの興味はうつろいやすく、制作現場は懸命に
頑張ってくれている…デザイナーとして、
どう行動するのがベストな選択なのか?
発売すると間もなく「すごいねー、2ヶ月待ちだって」と、“いい報告“として、友人達から連絡が複数入ってきました。驚いて、すぐにレムノスさんに理由を問い合わせました。

曰く、ご高齢のタンバリン職人ご夫妻が作っていらして、既に人気のシリーズ『RIKI CLOCK』と共通の、レムノス定番枠体を採用させてもらったことから、枠体の製造が全く追いつかない事態になっていること。配送の時間も惜しいので、レムノスの部長が、毎日のように車で出来た順に引き取りに行って下さっていることを聞き、それ以上急かすこともできず、デザイナーとしては苦しい気持ちでいました。

というのも、 大人向けの趣味製の高いアイテムであれば「待ってもらった分、嬉しさ増幅」みたいにも言えるのですが、fun pun clock はキッズ向け商品。子どもの興味はうつろいやすく、時計に興味をもった“その瞬間”に間に合うようお届けしなくては、モンテッソーリ教育を取り入れたデザインのアイデンティティー自体が矛盾してしまいます。
そこで、私なりに枠体を作ってくれそうなメーカーさんを調べてリストアップしてみました。でも、ご夫妻の長年の生業を奪うことにならないだろうか?デザイナーとしてレムノスの社員でもないのに出過ぎていないか等、いろんなことを考え始めてしまうと動き方もわからず・・そんな折、全然違う業界へのアプローチの提案をしてもらう機会が訪れます。
真円を作るのが得意。
という仕事をしているのは、
家具メーカーじゃなくて、楽器メーカーですね!
長さんのダイニングチェア、低座椅子。柳さんのバタフライスツールのように、fun pun clock もロングセラーになってほしいなぁ!!!

天童木工さんが、fun pun clock を取り扱って下さることになり、レムノスの菊地さんと一緒にご挨拶に伺いました。雑談レベルで枠体のことをお話しすると、ご自身もバンド活動されている永坂さんが「楽器は真円じゃなくちゃ、いい音がならないし、時計も真円じゃなきゃ困るでしょう?楽器メーカーに相談してみたら?」とアドバイスを頂きました。

考えてみたら、当時もタンバリン職人さんが作っていました。理由があったのね!と改めて再認識。時計も楽器も真円がいいのです。タイミング良く、その週末に夫のアナログシンセサイザーのライブを観に、「楽器フェア」に出かける予定だったので、秘かに「ドラムメーカーのブースを片端から廻ろう!!!」と、決心します。
楽器フェアではみんながお試し演奏中。
ドラムのブースではデモンストレーションが始まり、
大音量の横で分野違いの初対面。
楽器フェアは人も多いし、なにより皆がいろんな楽器を鳴らしていて、ものすごくうるさいのです。まだ小さかった子等を見失わないよう気をつけつつ、上半身裸で長髪の外国人の荒れ狂うドラムデモンストレーションの脇を通ってご挨拶。この時はドラムメーカーの特徴もわからずに手当り次第に「ドラムの部品を時計の枠体に使いたい」旨を、大声で何度も話す…明らかに困惑されている。私だって困惑している、でも必死なんです。
2社ほど、訳の分からない先の見えない話をして諦めかけていた頃のことです。突如「土橋さん、お越し頂きありがとうございます。」と、私じゃない方を向いて頭を下げる人達…そうだ、夫に紹介してもらおう!でも事前に相談してなかったから夫も困惑している…なんだかんだ“虎の威を借る狐効果”で話を聞いてもらえて、複数のメーカーさんに窓口を教えてもらえることができました。

そこからはレムノスさんに引き継いで頂き、Pearlさんと組むことになった次第です。レムノスとパール、日本発の世界ブランド同士が繋がって、必要な方のところへ必要なタイミングに安定供給がかなうようになりました。

パール楽器製造株式会社
(Pearl Musical Instrument Co.)のHP
→http://www.pearlgakki.com/
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