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Story

Story vol.2
時計としての王道
時計らしい時計
私は工場見学が大好きです。工場にはそれぞれの特色があり、洗練された技術を目の前にして、「どうすれば新しいプロダクトとして昇華出来るだろう・・」と、夢想する瞬間は至福のひと時です。

このプロジェクトでクライアントの工場施設を訪れたときも、そのアルミニウム砂型成形技術は、私が知る英国のそれとは比較にならないほど洗練されたもので、驚きでした。

それではその技術の限界まで挑戦していただきましょう、ということでデザインを進めました。
テーマは、時計としての王道を行く、時計らしい時計。金属の機械パーツのような、シャープな美しさを持ったデザインになるよう心がけました。


安積 伸
試行錯誤の連続
不可能を可能に変えたデザイン
ロンドンを拠点に活躍するデザインユニット・AZUMI。2000年富山に来県された際に出逢い、アルミ鋳物による掛時計の開発に関するデザイン提案をお願いしました。

数ヶ月後、ロンドンから届いたデザインはシンプルかつ、シャープなもので、スタッフの制作意欲を掻き立てられるものでした。

しかし、鋳物は造形がシンプルであればシンプルであるほど、誤差やごまかしが許されず、高い技術が求められます。
鋳物には抜け勾配が不可欠ですが、この垂直に立ち上がった指標を含むデザインは抜け勾配があると成立しないと思われ、またフラットで、大きな表面は湯流れによる地肌荒れが懸念されました。

基本となる原型の作成は、試行錯誤の連続となりました。最終的に表面精度の高い樹脂の塊をくりぬく方法で、シャープなエッジをできるかぎり生かした原型を作成することができました。
鋳造工程においても様々な問題が生じました。
通常、生型鋳造の抜け勾配は6度必要ですがデザインとの兼ね合いで、造型が不可能と思われた2.5度にまで抑えたことや、素材のアルミニウム合金「AC7A」は、耐食性に優れ又、研磨した際の光沢がキレイな高品質の素材ですが、湯流れが悪いなど作業性の悪さも特徴です。

そこで型に使用する砂の添加材の配合を調整する事や、鋳造工程では温度、湯道、注湯プロセスを再検討するなど、何度もの失敗を繰り返しながら最善の鋳造方法を探り出していきました。デザイン提案をいただいてから約1年後の2002年2月、この時計は商品化されました。


商品名「edge clock」の「edge」には、「鋭さ」のほかに「熱意」という意味もあります。
デザイナーと職人のモノ作りに対する熱意と情熱によって完成した「edge clock」を、ぜひじっくりとご覧ください。



株式会社 タカタレムノス 代表取締役社長
株式会社 高田製作所 取締役副社長
高田 博

Designer

安積 伸
プロダクトデザイナー。
1965年神戸生まれ。1989年京都市立芸術大学卒業。1994年英国王立美術大学修士課程修了。1995年より10年間 デザインユニット「AZUMI」として活動。2005年に個人デザイン事務所「a studio」を設立し、プロダクト・家具のデザインを中心に国際的な企業と協働している。受賞歴、美術館収蔵多数。法政大学教授。神戸芸術工科大学客員教授。
安積 朋子
1966年広島生まれ。1989年、京都市立芸術大学デザイン科環境デザイン科卒業。東京で設計事務所勤務ののち1992年に渡英しロイヤル・カレッジ・オブ・アートの家具科で学ぶ。95年に卒業後、ロンドンにてデザインユニット『AZUMI』として活動し、2005年に『t.n.a. Design Studio』を設立する。家具を中心に、照明やジュエリーなどのデザイン、店舗のインテリアデザインや展示会の空間構成も手がける。2007年から2012年までグッドデザイン賞の審査委員。

Lineup

Edge Clock
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