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Story Vol.15

fun pun clock【開発ストーリー 05】

fun pun clockのロゴについて、試しに描いてみたものの、想いが強過ぎて要素がまとまらない。どうしよう?というかロゴの役割ってそもそもなんなのかしら?ロゴデザインはとある方にお願いすることになりました。

[デザイン・文:土橋 陽子]

「ロゴデザイン」—色エンピツってどこにあるの?

時計のデザインは進んできたものの…
開発の武脇さんに「ロゴはどうしますか?」と聞かれ、
目が点になりました。
ロゴねー…
試しに描いてみたものの、想いが強過ぎて要素がまとま
らない。グラフィック事務所にいらした武脇さんに泣き
つくも、完成度が高過ぎて「他人の顔をしたロゴ」に
見えてしまう。どうしよう?というかロゴの役割って
そもそもなんなのかしら?
そうだ、ハマちゃんに相談しよう!!!

ロゴデザインを
濱中幸子さんにお願いした理由

今やいろんな方面からひっぱりだこのグラフィックデザイナー・濱中幸子(デザイン事務所Vol.代表)さん。ストレートな物言いで、一緒に打ち合わせしていてとても楽しい彼女は、二人のかわいいお子さんのママでもあります。
以前時間のことを雑談レベルでした時に、丁度保育園に出かける前の「お支度」の大変さについて、彼女自身の子育ての日々の実感をもって共感してくれたのが記憶にありました。

直接仕事とは関係ないのですが、実は中学高校時代をともに過ごした同級生でもあります。彼女はソフトボール部、私は陸上部で、先輩に怒られる姿を横目で見るような距離感で毎日汗まみれの生活を送っていました。そんな二人がお互い大人になってから、私のプロダクトのロゴ制作を彼女にお願いする日が来るなんて。本当に人生って面白いですよね。心の運動神経のいい、感覚が共有できる、センス抜群な(しかもプロ!)の彼女にお願いするしかない。そんな気持ちで時を越えてお仕事で再会してみることにしました。

デザイン事務所Vol.
http://www.vol-web.com
ブログにも、ロゴについての濱中さんから見た詳しい解説があります。
http://ameblo.jp/vol-ameba/entry-11929431590.html

ロゴデザインにあたってお願いした
3つのこと

①文字は小文字。時計の文字盤に使用しているフォントでお願いしたい。
文字は小文字のほうが親しみやすいカーブがある(気がする)。すでに元にしているフォントは視認性のために加工していたのですが、似たテイストになるといい(気がする)。程度に考えていました。

②fun(5.15.25.35.45.55分)を繋いだ時に六角形になることから、六角形の形をどこかに入れて欲しい。*反対のpun=10.20.30.40.50分も同じく六角形になる。

③子どもが小さなうちの一日のピークは「寝かしつけ」。21時に寝てほしかったら、30分前からの段取りが命。だから「20時30分」の時刻の要素を入れてほしい。


濱中さんからほどなくして4つの案があがってきました。

4つのデザイン候補が
どれもよかったこと

「…どれもいいんですけど。どうしよう?」と思いながら、実のところ一瞬にしてB案を気に入りました。私にデザインのチャンスを下さった高田社長にもすぐ電話して同時にどれが好きか言ったら「B!」とのこと。高田社長は「やはり、特徴的な色鉛筆をモチーフにしたところや、全体の楽しさといった点でいいですよね」と。

いやちょっと待って・・・
今、色鉛筆っておっしゃいました?

実は以前も高田社長と友人の平本氏(wip代表)が、「平本氏:色エンピツのカタチがかわいいですよね」「高田社長:色エンピツと万年筆っていうのがいいんですよ」
と会話しているのを聞き、どこにその「色エンピツ」やら「万年筆」があるのか質問していたことがありました。曰く、太い時針が色エンピツ。細いスリットの入った分針が万年筆、とか。

私は「そんな子どもだましのようなモチーフを、子ども達が喜ぶと思いますか?」時針は、色エンピツじゃなくて矢印の突起をとった成り行きのカタチ。分針は、もともと12進法と60進法を直感的に関連づける為のスリット。

ときっぱりと、反論しておきました。

提案してくださったロゴB案の濱中さんの説明をもう一度熟読して確認する私。
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fun pun clockの部分をGillsansのライトイタリックにし、文字に遊びを持たせました。「o」を六角形にし、8:30の表示もこの中にまとめました。「k」の一部を長針に見立て、実物と同じ鉛筆の形にしました。ポイントになる部分のみカラーにして分かりやすく。
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濱中さんも「鉛筆」って言ってる!!!

とどめに、広報と営業の両方でいつもお世話になっている、でもこの時はまだよく知らないひとだった現・レムノス取締役の菊地さんにまで、「理論的なだけでなく、エンピツ型の針がキャッチーですよね」と言われました。

…ふーーーん。
じゃ、鉛筆で♪
「このエンピツ型の針がポイント!」
とか、今では自分でも言うこともあります。

他人から見た視点で、キャラが立つ。そういうことを学ぶ機会になりました。

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Yoko Dobashi

株式会社イデーに5年間(’97~'02)所属。定番家具開発や、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。2012年より「Design life with kids Interior workshop」主宰。フリーランスデザイナー・インテリアライターとして、様々な企業や媒体と協働して独自の活動をしている。2017年にタカタレムノスにデザイン提供したfun pun clockがグッドデザイン賞受賞。Precious.jpにて「身長156センチのインテリア」連載中。